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ムーアの分類

前回は手術前の看護についてお話ししたと思いますが、今回は手術後の看護に触れたいと思います😃

手術侵襲を受けた患者さんにはさまざまな生体反応が起こります。
まず「ムーアの分類」をしっかり理解することが重要になります。
ムーアは生体反応について手術侵襲から回復過程を4相に分類しています。

第1相 傷害期(または異化期) 術後48〜72時間
生体反応の特徴は、
●神経内分泌系の反応が中心
●ノルアドレナリン・アドレナリン、副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾール(糖質コルチコイド)、抗利尿ホルモン(ADH)、成長ホルモン、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン、グルカゴンの分泌促進
●アドレナリンの分泌により、心拍数・収縮力の増加が起こり、循環血液量の維持がはかられる
●ノルアドレナリンの分泌により、血管は収縮し、血圧は維持される
●ADH、アルドステロンの分泌増加による水・Naの再吸収の促進により、尿量が減少する
●グルカゴンの分泌により、グリコーゲンのグルコースへの分解が促進される。筋タンパク質や体脂肪が分解され糖新生が亢進される

臨床症状は、
●体温上昇 ●循環血液量の不足 ●頻脈 ●血糖上昇 ●サードスペースへの水分貯留 ●尿量減少 ●腸蠕動停止または微弱 ●体重減少 ●疼痛 ●活動性の低下 ●無関心 ●無欲求

創の状態は、
●術創の疼痛あり ●創部の癒合は弱く、糸を切れば容易に離開

第2相 転換期 術後3日前後に始まり、1〜2日間持続する
生体反応の特徴は、
●神経・内分泌反応が鎮静化に向かい、水・電解質平衡が正常化していく
●ADHやアルドステロンによってサードスペースに貯留していた水分が体循環系へ戻り、Naと過剰な水分は尿として排出される

臨床症状は、
●体温の正常化 ●脈拍の正常化 ●尿量の増加 ●腸蠕動の回復 ●排ガス ●疼痛の軽減 ●周囲への関心が出る

創の状態は、
●術創部痛は消失 ●創部は癒合

第3相 筋力回復期(または同化期) 術後1週間前後から始まり、術後2〜5週間持続
生体反応の特徴は、
●タンパク質代謝が同化傾向となり、筋タンパク質が回復する
●日常生活の正常化

臨床症状は、
●バイタルサインの安定 ●活動性の回復 ●食欲の回復 ●筋肉量の回復 ●便通の正常化

創の状態は、
●術創部痛は完全に消失 ●赤色瘢痕

第4相 脂肪蓄積期 術後2〜5ヶ月後
生体反応の特徴は、
●筋タンパク質の合成が進み、脂肪が蓄積される
●女性では月経が再開するなど性機能の正常化

臨床症状は、
●脂肪蓄積による体重の増加 ●体力の回復 ●月経の再開(女性)

創の状態は、
●白色瘢痕

長々と書きましたが、これがとても重要です!
さまざまな手術があると思いますが、生体反応が基本的にこの4相の順番に進みます。担当する患者さんが今どの時期でどのような生体反応があるかをアセスメントしながら看護できると良いと思います!

ではまた 🖐️

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